茶路めん羊牧場が営む
ファームレストランCuore(以下クオーレ)。
白糠産の食材にこだわり、
旬の食材の力を引き出す
至福の美味を創り出しています。
クオーレはO泉・Yうさんが
メインをつとめるHTBの
某人気番組で紹介されたり、
ミシュランガイド2017北海道特別版で
ビブグルマンを獲得するなど、
その人気はすでに
全道~全国レベルなのです!
シェフの漆崎 雄哉
(うるしざき ゆうや)さんは、
白糠町ご出身。
札幌のイタリアンの名店
“Osteria YOSHIE”(※)で
修行を積み、白糠に戻って
クオーレのシェフをつとめています。
(※)
Osteria YOSHIEは
現在は移転・店名が変わっています。
記事末ご参照ください。
そんな漆崎シェフ、
ご自身を「食の変態」と評します。
(なんと異彩を放つ素敵な表現!)
その一端が垣間見える
エピソードのひとつが
“野菜”です。
※写真の果実酒類はすべて漆崎シェフのお手製。お店でも供しています。
※ゼブラなす/こちらの画像はCuore公式Facebookよりお借りしています
クオーレで扱う野菜は、
漆崎シェフが種を厳選し、
町内の農家さんが
丹精込めて育てています。
(すべて低農薬または無農薬)
※黒もちとうもろこし/こちらの画像はCuore公式Facebookよりお借りしています
中には北海道で栽培されていない、
あるいはなかなか
目にする機会の少ない
レアな野菜も。
北海道の気候では
栽培が難しいものもありますが、
農家さんと相談しつつ、
模索を重ねながら
育てているんだそうです。
すべては地元食材×美味しさのため。
漆崎シェフの
情熱を感じます…!
つなぎに着替えた漆崎シェフと
一緒に訪れたのは、
クオーレからほど近い山の中。
山に入って
少し進んだところで発見!
漆崎シェフ、
手早く摘みます。
ちなみに夏に雨が多いと、
秋にたくさんのキノコが
採れるんだとか。
そして時々ですが、
一つの木に数種類のキノコが生える
「アツい木(←漆崎シェフいわく)」
に出会うこともあるそうです。
少し下って小川の方へ。
「これはムキタケ。名前の通り、
皮がするーんとむけるんですよ」
皮をむかなくても美味しいのですが、
口当たりをより滑らかにしたい場合、
皮をむくんだそうです。
こちらは天然のエノキダケ。
お店で売っているものとは
全く別物ですね!!
これがまた、
香りも素晴らしいんです!!
「白糠にはカラマツが
多く植わっていますが、
カラマツにはラクヨウという
キノコがよく生えていますよ」
(※手にしているのはラクヨウとは異なるキノコです)
「この白いのは乙女の傘」
可憐でかわいいキノコです。
「乙女の傘の仲間でキヌメリガサ。
スープとかオムレツに合うんです」
「これは湯通しすると
トゥルンとした食感になるので、
リゾットやスープに合いますよ。
中国では麻婆豆腐に使うことも」
それにしてもキノコにお詳しい。
どうしてそんなに詳しいのか
理由をうかがうと、
「小さいころから親や祖父母が
外遊びを教えてくれたんです。
キノコは独学ですね。
山菜や家庭菜園については
おばあちゃんに教えてもらいました」
…納得です!
クオーレのSNSには、
山菜やキノコなどを使った
旬のお料理の写真が
しばしば登場します。
幼いころから野山に親しみ、
キノコや野草に関する知識を
身近な方たちから受け継いだ、
漆崎シェフならでなの
一皿なんですね。
そして、私が驚いたことの一つに、
やぶの中でもキノコを見逃さない
漆崎シェフの鷹の目があります。
「僕のおばあちゃんが
本当にすごくて。
車を運転していても、
“あそこにキノコがある!”って
車止めて採ってきちゃうみたいな。
僕もちょっと
その目を受け継いだかな」
う~ん、ハンターですね。
小さい頃のことを
さらにうかがうと、
「昔から変わった子だったと
思います。
ゲーム世代だったけど
外遊びばかりしてたし」
「料理も小学校低学年から
してましたよ。お弁当作りとか。
あと、小学校の調理実習で
秋鮭をひとりで捌いたことも」
「クラスのみんなは
捌けなくて、結局僕一人で
5匹くらい捌いちゃって(笑)」
小学生で秋鮭捌くって!
天才じゃないですか!
幼いころから人に
料理をふるまうのが好きだった
漆崎シェフ。
学生時代には漆崎シェフの
手料理を目当てに、
お友達がたくさん
遊びに来ていたそうです。
「美味しいって
言ってもらうのが、
昔から好きなんですよ」
専門学校時代には、
下宿先に泊まりに来た
友達のために、早朝に起きて
生地からパンを作って
焼いてあげたという
驚愕のエピソードも。
※こんなイメージ
札幌での修業時代から、
地元に戻ってレストランを
開きたいという
夢を抱いていた漆崎シェフ。
「地元の素晴らしい食材で
料理を作って、
美味しいって言ってもらえたら
幸せだろうなって」
…ああ、漆崎シェフにとって
このお仕事は、
本当に天職なんですね!
さて、クオーレに戻りました。
早速キノコの下処理を行います。
人の手で栽培されたものとは違い、
天然もののキノコには、
落ち葉や土などが
ついています。
これを浮かせて落とすために、
まずは1時間ほど
塩水につけておきます。
続いて流水で軽く洗います。
かさの裏の襞に入り込んだ不要物も、
手で優しく落とします。
状態を見ながら、
不要部分があればカットします。
これをすべて一つひとつ
手仕事で行います。
地道…!
あっ!ムキタケですね!
わ~、皮がするーんと
むけますね~☆
前日に処理済のキノコも
見せてくださいました。
こちらはチャナメツムタケ
ラクヨウ(正式名称ハナイグチ)
「じゃあ、さっそく作っていきますね」
ラクヨウ、ムキタケ、エノキを
カットします。
塩を入れた熱湯で茹でます。
その間に冷蔵庫から
オヒョウを出し、
薄くスライス。
茹でたキノコを水で締め、
オヒョウとからめて
塩・オリーブオイル・
ビネガーで味付け。
最後にレモンの皮を
すりおろします。
キノコとオヒョウの
マリナート(マリネ)が完成です!
次に、フライパンにバターを溶かし、
羊のベーコンを投入します。
こちらのベーコン、
シェフのお手製なんです。
「お店がお休みになる冬の間に、
こうした加工品を作ります」
すべて手作りなんですね…!
「リゾットを作ります」
ラクヨウ、乙女の傘、
エノキを投入して
強火で炒めます。
香り立ってます!最高!
「キノコを美味しく
仕上げるコツの一つが火加減です。
強火で炒めて一度
水分を出させてから、
ベーコンの旨味を吸わせる。
こうすると味も歯ごたえも
良く仕上がるんです」
勉強になります!
続いて羊のブイヨンを入れ、
沸騰したらお米を投入。
最後に隠し味の
魚醤をプラス。
キノコと羊ベーコンの
リゾットが完成です。
美味しそう!
まずはマリナートを。
キノコの味と香りと食感を
ダイレクトに感じます!
オヒョウの繊細な味わいにも
マッチしていて、
キノコの色との
洗練されたグラデーションも
美しい、まさに
五感を刺激する前菜です。
続いてリゾット。
ベーコンとブイヨンは、
いずれも茶路めん羊牧場の
羊から作られています。
優しくて雑味のない、
かつ濃厚で力強い
“羊の滋味”を感じます。
そして、そこに溶け込む
キノコの旨味と香り。
心が躍ります。
美味しくて楽しくなる、
そんな一皿です。
今回、キノコ狩りに
同行させていただいて、
“天然もの”が持つ
圧倒的な力を
実感しました。
やはり、食べると
全然違います。
そして、天然もののキノコの
美味しさを知らなかった
自分に気づくと同時に、
白糠という土地は、こんなにも
豊かなんだと知りました。
そう、クオーレはまさに
“食を通じて「発見」「驚き」を
体験できる非日常空間”
なんですね。
「白糠はさまざまな食材に
恵まれています。
それを育むのは、
豊かな自然。
ですからクオーレに
来ていただいた方には、
“食べて美味しい”で
終わるだけじゃなく、
料理を通じて
“白糠っていいところだな”って
思ってもらえるとうれしいです」
と語る漆崎シェフ。
これからチャレンジして
みたいことは?と伺うと、
「白糠にもっとたくさんの
人を呼びたいです。
そのためにもさらに魅力発信が
必要だし、重要だと考えています。
料理、そしてSNSなどを活用して、
地道に、細く長くやっていけば、
きっと実現できると思っています」
私も今回のキノコ狩り同行で
白糠という土地の豊かさに
非常に感銘を受け、
こうした魅力を
どんどん発信していきたいと伝えると、
「僕も自分に
できることを通じて、
地元に貢献したいと考えています。
たとえば今日の
キノコ狩り、
採ったキノコを使った
料理体験みたいな。
白糠の自然に触れ、
実りを実感する体験を
子供たちも経験して
もらいたいですし、
今後はそうした企画にも
チャレンジしてみたいです」
と答えてくれました。
子供のうちに白糠の自然を
肌で感じる体験を
たくさんしておけば、
漆崎シェフのように
一度都会に出て、
そして再び白糠に戻ってくる、
そんな子供や若者たちが
増えるのではないかと
感じました。
漆崎シェフ、今日は素晴らしい
体験をさせていただき
本当にありがとうございました!
ぜひまた取材させてください!
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クオーレは公式HPに加え、
SNSでも情報を発信しています。
日々、仕入れや採取する食材に合わせて
メニューをアレンジしているので、
ぜひこちらもチェックしてみてください。
◆Cuore 公式Facebook
◆Cuore 公式Instagram
◆Cuore 公式HP
そしてこちらは
漆崎シェフの師匠である
吉江恵一さんが営む
札幌の「吉 花 CHICCA」です。
◆吉花 CHICCA 公式Instagram
漆崎シェフは料理の道に
入った頃のご自身を
「今考えると、ひどいものでした」
と振り返ります。
「当時は口の利き方やあいさつも
全くできていませんでしたから」
そんな漆崎シェフを一人前に育てたのが、
吉江シェフだったそうです。
「面接のときに“いつか地元でお店を”
と言った自分を採用してくれましたが、
最初は吉江シェフも
頭を抱えたと思います」
「人として半人前な自分を
一から叩き直し、
店主となる器に育ててくれたのが、
吉江シェフでした」
と、漆崎シェフは語ります。
漆崎シェフと吉江シェフの
素敵なエピソードは、
また後日改めてご紹介します。
お話を伺い、吉江シェフも
本当に素敵な方だと感じました。
札幌のお店にも、
ぜひ伺ってみたいです。
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※キノコ狩りは
初心者の方は
キノコの知識を持つ
経験者の同行をおすすめします。
毒のあるキノコもあるので、
必ずご注意ください。
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