9月から本格的な操業が始まった
白糠町の秋鮭定置網漁。
7月のトキシラズ漁でお世話になった
第三十一宝栄丸に、再び乗船取材させていただきました。
第三十一宝栄丸の木村太朗船長(写真左)は、
「船上放血 神経抜き」という
魚の高鮮度状態を保持する技術により、
魚の付加価値を高める活動をしています。
※初見の方は本ブログ7月3日記事を先にご覧ください
集合時刻は前回と同じなのですが、
実は私、8月末に自家用車のエンジンに
穴が開いて廃車になってしまい、
しばらくノーカーライフです。
そのため取材当日は、
船長に自宅まで迎えに来ていただきました。
(船長、ありがとうございます!)
時刻は午前3時過ぎ。
雨が降る白糠漁港。
乗組員の皆さんはいつもと変わらぬ調子で、
出港の準備を行います。
他の漁船も続々と出航準備を始めます。
こちら、昨年乗船取材させていただいた
栄松丸の乗組員の皆さん。
ご無沙汰しております!
※昨年の栄松丸乗船取材の様子はこちらです
午前3:30、いよいよ出航です。
船は港から5マイル、沖2000メートルの
漁場を目指してひた走ります。
宝栄丸の定置網漁は、
1日に4か所の漁場をまわります。
最初の漁場に着くと、
ご自身のポジションにつき、
網を上げる作業を始めます。
人力と機械の力を組み合わせながら
網を上げていくと、
魚影が見えてきました!
トキシラズ漁の時と異なるのは、
次の工程です。
もともとの漁獲量が少ないトキシラズは、
定置網をある程度引き上げると、
船の上から玉網を使って人の手で
直接すくい上げます。
トキシラズより漁獲量の多い秋鮭の場合、
漁船後部に繋いでいた小舟と宝栄丸で
網をはさみます。
そして、クレーンとつながっている
巨大な玉網(長さ2m半強)を、
小舟の乗組員の方が定置網内に手で寄せて
魚を入れます。
その後、網を船に上げ、魚をいったん
オレンジのコンテナに入れます。
オレンジのコンテナに入った秋鮭の中から
魚体の良い秋鮭を選別し、ブルーのコンテナへ。
※放血しない秋鮭は船本体の水槽へ。
そして、マットの上で
放血(活け締め)を施します。
放血を施した秋鮭は、新鮮な流水で満たされた
カバー網のあるオレンジのコンテナへ入れ、
魚自身の心臓をポンプとして、血液を排出します。
血の混ざった水も、流れ込む流水で
自然に排出されます。
放血が済んだら、さらに
魚体・状態共に良い秋鮭を選別。
神経抜きを施します。
7月3日記事でもお伝えしましたが、
魚の鮮度を高いままキープするには、
死後硬直を遅らせることがカギになります。
死後硬直は劣化・腐敗への第一歩。
そのため、死後硬直開始の大きな要因とされる
ATP減少の抑制を目的に、神経抜きを施します。
まず脳を締めます。
そして、空いた穴からワイヤーを通し
脊髄を破壊します。
背骨の中を通すと思われがちですが、
実際は背骨の上部にある脊髄部分に通します。
ワイヤーを通すと、ワイヤー先端の
位置に沿って、魚体表面に
神経反射からなる動きが発生します。
※ワイヤーの先端が体表近くを通っているのではなく、
神経反射として体表に反応が現れます。
第三十一宝栄丸の「船上放血神経抜き」は
受注生産です。
この数日後、さっそくふるさと納税の返礼品として
オーダーがはいったとのこと。
美味しいものに敏感な人が、
見逃すはずがありません!
そして、取材当日はブリもあがりました。
もちろん放血&神経抜きをほどこします。
4か所の定置網漁場をめぐり終え、
一路港へ。
赤い灯台が見えてくると
ホッとします。
無事港に到着!荷揚げする皆さん
サービスカットも撮らせてもらいました!
第三十一宝栄丸の皆さん、
ありがとうございました!
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